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義歯

義歯とは

「義歯」は、個人個人の口に合わせてオーダーメイドで作られた人工の臓器で、非常に精密に作られています。歯冠修復と同様に、保険診療、自費診療があります。歯が1本でも無くなると、「咀嚼(そしゃく);かむ」「発音」「嚥下(えんげ);飲み込む」「審美;外観」などに不都合が出てきます。それらを補助し、他の疾患の予防となるものが、義歯です。

通常「義歯」といえば、患者さん自身で取り外し可能な物を呼びます。自分の歯が一本も残っていない方のための「総義歯」、何本か残っている方用の「部分義歯」などがあります。

金属床にすると… アタッチメント…
丈夫 義歯がシンプル
清潔 残っている歯に優しい
薄い 目立ちにくい
温度を感じる  

外からは見えない上あごの部分を
金属で製作する金属床義歯
プラスティック 金属
軽い 重い(軽い物もある)
柔らかい 堅い
厚くなる 薄くできる
すり減る すり減らない
吸水性あり 吸水性なし
変色する 変色しない
破損しやすい 破損しにくい
熱が伝わりにくい 熱が伝わりやすい

下の義歯、部分義歯

使用できる材料に制約が少ないため、自由な設計がしやすくなります。
例えば、残っている歯への負担をできるだけ軽減させて、長持ちさせたりることができます。あるいは、使用するバネの位置、大きさ、力の掛かり具合なども、見栄えを考えて作ることができます。

義歯のはめ方・外し方

口の中は、いつも唾液で濡れています。義歯をはめるときは、一度水で湿らせてから口の中に入れましょう。その時、唇や粘膜・歯などを傷つけないように注意して下さい。特に部分義歯の場合は、ちょっとしたコツが必要です。鏡を見ながら、何度か練習しましょう。いきなり口の中に放り込んで、噛んではめることなどは、絶対しないでください。

外すときは、舌で持ち上げるのではなく、指を使って外して下さい。部分義歯の場合は、残った歯にバネで引っかかっています。このバネに爪を引っかけて外すようにします。片方のバネだけを外そうとしても、かえって外れにくくなることもあります。練習を思い出して、少しずつ外してみて下さい。

早く慣れるために

初めて義歯を入れると、どうしても異物感・違和感が非常に強いものです。

個人差もありますが、慣れるまでに早い人で、1~2カ月かかります。その間、かみ合わせや粘膜への当たり具合などを少しずつ調整していきます。ついつい気になって、舌でもて遊ぶようなことがないよう、気を付けて下さい。

発音

義歯を入れると、口の中が一杯になった気がして話しにくいと感じるものです。特に下の義歯の場合は、舌の動きのじゃまになりやすいので、その傾向が強く感じられます。

「サシスセソ」「タチツテト」などは、特に発音しにくいものです。声を出して、本を読んだりして練習してみて下さい。だんだん、良い発音が出来るようになります。

食事

義歯を入れたからと言っても、いきなり何でも食べられる訳ではありません。多少の練習、慣れが必要です。

まず、柔らかい物や小さく切った物を奥歯を使っ て、左右均等にゆっくりと噛みましょう。前歯で噛み切ろうとすると、義歯が外れそうになることがあります。豆腐やマグロの刺身などは比較的食べやすく、たくあんやお餅などは義歯には苦手です。

気長に使ってみて下さい。慣れてくると、舌や頬・口唇の動きなどが自然に調和して、色々な物が食べられるようになります。

義歯の日常の取扱

義歯も磨きましょう

義歯は、口の中で唾液や食べ物に触れたりする物です。正しい手入れをしないと、見た目に汚いだけでなく、口臭や虫歯、歯槽膿漏の原因にもなりかねません。

そこで、毎食後は義歯を外し、歯ブラシなどで磨きましょう。義歯専用歯ブラシもあります。
特にペーストなどは必要ありませんが、部分義歯では、形が複雑でしかもバネなどが付いていますので、丁寧に、またケガをしないように注意しましょう。

口の中の手入れ

義歯と隣り合っている自分の歯は、特に汚れがたまりやすくなります。小さな歯ブラシを用いて、できるかぎり色々な方向から磨きましょう。こより状のガーゼを巻き付けたり、綿棒などを使用しても結構です。

義歯の保管

特別に指示が無い場合は、夜間就寝時は外しておきます。靴と同じで、1日中はめたままだと、口の中も疲れてしまいます。

義歯は、口の中でいつも湿った状態で使う物なので、乾燥すると変形したり変質したりすることがあります。ティッシュなどにくるんでおくと、まちがって捨てたりもしますので、必ず水中に保管して下さい。
この際、義歯の洗浄剤などを使用することも効果的です。

消毒のため、熱湯や他の洗剤などは使わないで下さい。破損の原因となります。

使い心地が悪い時

義歯を入れると、バネのかかった歯や、義歯の当たっている粘膜、舌などが痛いときがあります。このようなときには、自分で曲げたり、削ったりすると、逆に合わなくなることが多いので、必ず専門家におまかせ下さい。

短期間の内に新たな義歯を制作することはできません。もし破損した場合は、可能な限り修理しますので、外れたバネや義歯の破片などがある場合は出来るだけお持ち下さい。

定期検査について

義歯は、「入れたら終わり」ではありません。体がやせたり、太ったりするように、口の中の状態も変化していきます。年に1、2度は、定期検査を受けましょう。口の中の検査は勿論、義歯の状態もチェックします。壊れたり、余り合わなくなってきたときは、新しい義歯が必要になることもあります。

義歯安定剤は、合わなくなった義歯を一時的に補う物です。新しい義歯には基本的には必要ありません。間違った使用方法は、逆に副作用の方が大きくなってしまいます。何か疑問があれば、ご遠慮なさらずにご相談下さい。